「だめ……恥ず、かしいっ」

「何が恥ずかしい?」

「っ!」

 紅夜は何でもあたしに言わせたいのか。

 あたし自身を差し出すと言ったときもそうだったけれど、色んなことを彼は言わせたがる。

 本当は分かっているのに、聞いて来る。


「っあ、んぅ……」

 それでも言えずにいると優しく動く手が柔らかい部分を撫でた。

「言えよ。……何が恥ずかしいんだ?」

 声を抑えるのを許してくれない紅夜に(あお)られる。


 胸元の方から野獣の瞳が見上げてきた。

「っぁ……む、胸が、恥ずかしっ……くて……」

「触るなってこと?」

 そう言って離れていく手に安堵するけど、どうしてか寂しく感じる。


「あ……」

 無意識にすがるような声が出ると、そのまま吐息ごと口を塞がれた。

 深く、(むさぼ)るようなキス。

 歯列をなぞられ、舌を吸われ、意識が(とろ)けていく。


 唇が離れると、余裕のない熱い息が紅夜の口から漏れた。


「そんな顔して……煽ってんの?」

「ふへ?」

 まともに働かない頭では、聞き返すことしか出来ない。


 すると離れていった手が今度は太ももに触れる。

 内側の、柔らかい部分を撫でられた。