なんだか気安い感じ。

 それは叔母さんに対するのと似ていて……。

 やっぱり紅夜は隆志さんのこと好きなんだなって思った。


「紅夜は隆志さんに会いたい?」

「まあ、会えるなら会いたいけど……。あの人忙しいからな」

 そう言った紅夜は上手く感情を隠しているみたいだったけど、言葉の端々から寂しそうなのは伝わってきた。


 あたしだってお父さんになかなか会えないのは寂しい。

 お母さんはいても、やっぱりお母さんとお父さんは違うし。


 だから会いたいという気持ちはよく分かった。


「……あの、さ。あたしには本音言っても良いんだからね?」

「ん?」

「寂しいとか言っても、紅夜のことカッコ悪いなんて思わないから」

 思ったままを伝えた。

 多分、今のあたしに出来ることはそれだけだから。


「そっか……」

 感情の読み取れない声でそう呟いた紅夜は、手を伸ばして来てあたしの頬に掛かっていた髪を耳にかけた。


「でも、今は美桜に会えたのが一番嬉しいんだけど?」

「っ!!」

 妖しい色をその目にひそませて、彼は微笑む。

 不意打ちに、あたしは一気に鼓動を早めた。


 その目がお前は? と聞いてくる。

 これは、答えるまで妖しく甘く囁いてくる気だ。