制服に着替えコートを着ると、紅夜もいつものミリタリージャケットを着てフードを被るところだった。

 この間は朝だから大丈夫と言っていたけれど、今はもう日が高い。

「紅夜、外に出て大丈夫なの?」

「ああ……まあ、日焼け止め塗って極力日に当たらない様にすれば大丈夫だ。真夏はそれでもキツイけど、今の季節なら大丈夫だろ」

 そう言って紅夜はあたしに手を差し出す。

 あたしはその手を取って一緒に部屋から出た。


 移動するときは手を繋ぐのが普通になってる。

 自然としてしまうその行為に気づいてキュンとした。

 ささやかな幸せかもしれないけれど、それが何よりも尊いのかもしれないと思った。



 エレベーターに乗ると、紅夜はいつもなら降りるときにはしないことをする。

『認証完了致しました』

 機械音声のあとに現れる数字。

 ――その地下を表すB2の表示に彼は触れた。


「俺の秘密を教えるって言っただろ?」

 驚くあたしに紅夜はいたずらっぽく笑う。

 確かに昨日そう言っていたけれど……。


 地下は、この街の本質がある場所……じゃなかっただろうか?

 誤魔化されたけれど、それは間違いじゃないと思っていた場所。