「あの、こんにちわ」


思い切って幸男は声をかけた。


少し驚いたように振り返る女の子。


その瞬間、シャンプーの香りがフワリと舞う。


「こんにちわ」


その容姿に似合う、甘い可愛らしい声で答え、笑顔を見せる。


「あの、今から食事どうですか?」


突然の幸男の言葉に女の子は戸惑う。


それはそうだろう。


もう昼時で、自分の家からは揚げ物の匂いがしてきているのだから。


「あの、いつも揚げ物ばかりみたいなので、たまには外で、なんてどうですかね?」


慌てて幸男はそう言った。


すると、女の子はカッと頬を赤らめ俯いてしまった。


クソッ、俺は何言ってんだ! 自分で自分の頭を殴りつける。


なんせ女性との関わりなんて、職場のおばさん連中とグチをこぼす程度だ。


なんと言ってデートに誘えばいいかわからない。