甘い毒に溺れ堕ちて

鼻を鳴らして一蹴する母。

ようやく口を開いたかと思えば。

無言で睨みつけ、膝の上で握りこぶしを作る。


月3000円のお小遣い。

多趣味の人や人付き合いが多い人に比べたら、私みたいな家と学校を行き来するだけの人間には充分だろう。


だけど、交通費や交際費に加え、生活必需品である衛生用品、学用品でさえも、この量でまかなっている。


チラシは穴が空くほど見て特売品を探して。

日によっては、雨の中、自転車を走らせて買いに行くこともある。


たった数百円でも私には大金。

臨時収入がない時期は、月末は雀の涙ほどしか残らない。

上手くやりくりできたとしても、友人との外出やクラス会などの予定が入ろうものなら、1日で泡となってしまう。


現状を知った父から、はぁー……と長い溜め息が漏れる。



「3000円って……真彩を無趣味にするつもりか」

「しょうがないでしょ。今色々と高いんだから」

「だからって子どもを巻き込むのは違うだろう。風斗にも強いてるのか?」

「いや、俺はごせんえ……」