甘い毒に溺れ堕ちて

感動的ムードから一転。純粋無垢な彼らからの質問攻撃に言葉を詰まらせる。



「しゅーしょくってなに?」

「せんせいのなかま?」

「ううん。仕事に就くって意味だよ」

「つく?」

「くっつくのつく?」

「ではないかな。就くっていうのは……」



突っ立っている2人に目配せしてみるけれど、どっちも気まずそうに口を引きつらせるだけ。


正直に話すべきか、誤魔化すべきか。
話すとしても、どこから話すべきか。


答えがまとまらず途方に暮れていると、玄関のほうから物音が聞こえてきた。



「ただいまー」



鍵が解錠される音、バタンと閉まる音、徐々に近づいてくる足音。

本来であれば聞こえるはずのないその声に、リビングにいる全員が目を見張った。


磨りガラスの部分に人影が現れ、ドアノブがカチャッと動く。



「ただいま。あぁ涼しい〜。生き返る〜」

慎太郎(しんたろう)……! 急にどうしたの? 仕事は?」

「半休取った。明日から夏休みって真彩に聞いて、せっかくだからみんなで過ごしたいなーと思って」