甘い毒に溺れ堕ちて

じっくりと大切に味わいつつも、一口、また一口と、食べ進める手が止まらない。



「ごちそうさまでした」

「いえいえ。お口に合ったみたいで良かったです」



あっという間にもう半分も完食。片づけをして校舎へと戻る。



「今回もご家族に味見してもらったの?」

「うん! 特にばあちゃんが気に入ってさ。『将来は世界一のパティシエさんね!』ってベタ褒めしてて。あまりにもパクパク食べるもんだから、父さんが『おいおい! 俺の分も残してくれよ!?』って突っ込んでた」



ノリノリで家族のモノマネを披露する藍くん。


あの日をきっかけに、家族全員で話し合いが行われたらしい。


結果、おばあさんはお盆が終わった後、施設に入所することに。

同時にアイも、その日を最後に帰郷することになったそうだ。



「夏休み中は、デザート類は毎日作ろうかなって。面会は食べ物類は渡せないっぽいから」

「そっか」

「母さんにも、全部話した。髪のことは父さんから聞かされてたみたいなんだけど、写真は見たことなかったらしくて。その場で写真撮って送ったんだ」

「何て返ってきた?」

「『少女漫画のヒーローみたいね。次の絵のモデルにしていい?』って。『参考資料にするんかいっ!』って2人でゲラゲラ笑った」