甘い毒に溺れ堕ちて

……別宅、じゃあないよね。


裕福な家庭なら持っていてもおかしくはなさそうだけど、ご近所さんは『家庭の事情で今はこっちに住んでいない』って話してたし。


タオルで汗を拭い、軽く髪の毛を整えて玄関へ。

インターホンを押すと、「はーい」と朗らかな女性の声が聞こえた。



「あらっ。こんにちは!」

「こ、こんにちはっ」



笑顔で応対してくれた人物に、思わず背筋をピンと張った。


花柄のブラウスにグレーのパンツ。

服装は違うけど、間違いない。先週交番まで送り届けたおばあさんだ。



「綺麗なお嬢さんね〜。高校生?」

「は、はいっ。高校2年生の、占部 真彩といいますっ」



たどたどしく自己紹介し、ペコッと頭を下げる。


お元気そうで良かったと安心しつつも、やっぱり覚えてないか……とちょっぴりショックを受ける。

そんな私とは対照的に、彼女の目は生き生きと輝きを放っていて……。



「2年生……もしかして、アイさんのお友達!?」