甘い毒に溺れ堕ちて






「和風の平屋、和風の平屋……」



放課後。

ブツブツと呟きながら住宅街を歩いていると、『成見』と書かれた表札を見つけた。

メッセージアプリを開き、【着いたよ】と藍くんに返事を送る。



『誰か、成見くんにテストを届けてくれる人はいませんか?』

『はいっ。私が行きます』



帰りのホームルームで呼びかけた担任に、迷わず挙手した私。

他にも何人か男子が手を挙げていたのだが、『幼稚園が同じだから』とご近所アピールをし、半ば強引に勝ち取った。



「失礼します。お邪魔します」



挨拶をして駐車場に自転車を停め、水筒のお茶で火照った身体に水分を与える。


藍くんの家は、学校からおよそ10分のところにあった。

しかし、到着までにかかった時間は60分。


というのも、先生に伝えている住所とは別の場所に住んでいると、本人から直接連絡が来て。

再度場所を教えてもらい、今ようやくたどり着いた。