甘い毒に溺れ堕ちて

案内してあげたいところだが、ここから軽く3キロは離れている。

外も徐々に暗くなってきたため、ひとまず交番に連れて行くことに。


おまわりさんに事情を話し、自販機で買った麦茶を飲ませていると……。



「母さん……っ!」



突如乱入してきた声に、ビクッと肩を震わせた。

白シャツにスラックス姿の中年男性が引き戸を開け、飛び込むように交番に入ってくる。



「あらコハク! どうしたの、そんな汗ダラダラで」

「それはこっちのセリフ。飯放ったらかしてどこ行ってたんだよ……」



コハクという男性は、長椅子に座るおばあさんの両肩を掴むと、へなへなと膝から崩れ落ちた。


汗でびっしょり濡れた背中。
白髪交じりの黒髪は風に煽られたようにボサボサ。

ゼェハァと肩を上下に揺らして呼吸しているあたり、走って捜し回っていたことがうかがえる。



「……もしかして、お嬢さんがここに?」

「は、はいっ」