甘い毒に溺れ堕ちて

場所を調べようとポケットの中のスマホを手に取ったら、段差につまずいたのか、おばあさんが地面に手を付いて倒れた。



「っ、だ、大丈夫ですか!?」



車が来てないことを確認し、道路を横断した。

うずくまる彼女の元へ大急ぎで向かい、手を差し伸べる。



「あらぁ、ありがとうねぇ」

「いえいえ。足、大丈夫ですか?」

「ええ。まだまだ若いもんにはとは思ってたけど、よそ見したらダメねぇ」



私の手をギュッと握りしめながら、ゆっくりと立ち上がったおばあさん。

猫背ではあるが、擦りむいた形跡や痛みを我慢している様子はなく、パンパンッと服に付いた汚れを払っている。


……オシャレなおばあさんだなぁ。


薄手の白いカーディガンに、下は無地の黒いパンツ。

靴も靴下も真っ黒のモノトーンコーデ。


だけど、スニーカーの紐が赤だったり、カーディガンのボタンがお花の形だったりと、随所に遊び心が散りばめられていて、オシャレ上級者の雰囲気を感じる。


年齢は、80代前半くらい? うちのおばあちゃんよりも、ほんの少し上の歳だと推測してみた。