甘い毒に溺れ堕ちて

私は愛されてる。1人じゃない。


毎日ニュースを観ているのなら知っているでしょう。世の中には困窮した生活を送っている人が大勢いるということを。


たかが理不尽に怒られた程度で──ケーキを買ってもらえなかった程度で、なに悲劇のヒロインぶってるの。


最後の一口をじっくり味わいながら後始末をし、公園を出た。


時刻はまもなく19時20分を回るところ。

まだまだ空は明るいものの、西側には雲が出現しており、出発前と比べると少し薄暗くなってきている。


帰りたくないなぁ……。でもあんまり遅いと晴日と晴月が心配しちゃうし。

今の時期、補導なんかされたら洒落にならないもんね。


覚悟を決めて家の方向へと歩き出した──その時だった。



「ん……?」



反対側の歩道に、キョロキョロと周囲を見回しているおばあさんを見つけた。


誰かの家を探しているのだろうか。

手助けしたいけど、この辺の住民じゃないしな……。あ、でも近くに交番があったはず。