キーンコーンカーンコーン……

 四時限目の授業も終わってやっと癒しの時間だ。


 今日は何を食べようかなー?

 生姜焼きもいいし、クリームコロッケも気になる。

 うーん、学食がこれだけ充実していると迷っちゃうなぁ。


「美来、そろそろ行こっか?」

 しのぶも片づけが終わったようでそう誘ってくる。

 あたしは喜んで「うん!」と返事をし立ち上がった。


 すると……。


 ガシッ


 手首を掴まれる感覚に嫌な予感がした。

 そして記憶も蘇る。

 こんな風に掴まれた転入初日、散々な目に遭ったことを。


 そして案の定、今回もあたしの手首を掴んでいたのは久保くんだった。

「っ!?」

 な、何で今ー!?


 これからご飯だっていうのにー!!


 あたしの手首を掴んだ久保くんは、あくびを一つしてからあたしを見上げた。

「昼飯だよな? 俺も一緒に行くから待て」

「え? ……はあぁ!?」


 どうしてそうなった!?

 何で一緒に行かなきゃないの!?


 助けを求めてしのぶを見ると、あたしと掴まれている手首を見てどうするべきか迷ってるみたいだ。

 そうだよね。

 しのぶの力じゃこの掴まれている手を外せないだろうし、掴まれている以上あたしを連れて逃げることも出来ないし。

 あたしもどうすればいいのか分からないもん。