この時、どんな人が住んでいるんだろうなんて思わなきゃ良かった。

 その部屋の住人が出てくるのを待たないで、さっさと自分の部屋に入っていればよかった。


 でもそう。

 後悔は先には来ることが無いんだ。



「……え?」

 他の住人を見たことが無いのもあって、近くの部屋に住んでいるのはどんな人なのか見たかった。

 でもまさか。


「……ん? 何だ、お前部屋そこだったのか」

 気だるそうにその部屋から出てきたのは、久保くんだった……。