本番って、するかどうか分からないよね⁉

 いや、プロポーズみたいなことは言われたけれど……。


「俺たちが色々後始末をしている間に、君は彼氏といちゃついてたんだ……?」

「いちゃ⁉ いや、そんなつもりは……」

 坂本先輩は追い詰めるようにゆっくりあたしに近付いて来る。

 ……あれ? これってマズイ?

 今はあたしと坂本先輩しかここにはいない。

 いくら何でもあたしが嫌がることはしないだろうけれど、際どいことはしそうだ。


「うらやましいな……俺も君とキス出来るような関係になりたいよ」

「え? いや、それは流石に……」

 あたしには幹人くんがいるんだから無理だって分かってるよね⁉

 じりじりと距離を詰めてくる坂本先輩に、あたしは座ったままだけれど思わず身を引いた。


 そんなあたしを見て、彼はフッと笑う。

「ごめん、ちょっと意地悪だったかな? まあでも、そうなりたいっていうのは本音だけど」

「……」

 どう答えるべきか分からなくて微妙な顔で黙った。

 応えられない気持ちにはハッキリと答えを告げた方がいいのかとも思うけれど、諦めないってもう言われてるしなぁ……。

「悔しいけれど、今はラブラブな時期だろうから邪魔はしないよ。倦怠期に入ったら狙い撃ちするから覚悟しといてね?」

「はい⁉」