地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

「幹人くん!」

 彼の名を呼んで、その胸に飛び込む。

 幹人くんは当然驚いたけれど、迷うことなくあたしを受け止めてくれる。

 勢いを殺すためにそのままクルリを回って、しっかりとあたしを抱きしめてくれた。


「こら、いきなりは危ねぇだろうが」

 焦ったように叱る幹人くんは照れたり緊張している様子はない。

 特訓の成果なのか、一気に色々あって緊張も吹き飛んだのか。

 あたしをこんな風に抱きしめても真っ赤にならなくなっている。

 ちょっと寂しい気持ちもあったけれど、自然とギュッと出来るようになったことは嬉しかった。

 あたしは「ごめんね」と謝りながらもう一度ギュッと抱き着く。

 すると、軽く呆れたような笑いが落ちてくる。


「……ほら、まだ歌が途中だろ? サボってると、後で奏がうるせぇんじゃねぇか?」

「あ、確かに」

 いくら今は奏がメインだと言っても、ずっと一人で歌わせるわけにはいかないだろう。

 名残惜しくてもステージの上に戻らなきゃと思っていると、幹人くんに肩を抱かれ膝裏に腕を入れ持ち上げられた。


「っ! え⁉」

 いわゆるお姫様抱っこをされて、驚き戸惑う。