途中で人手が必要だと判断した副総長がチームの連中に連絡したようで、美来が連れて行かれた空き家につく頃には他にもバイクに乗った《crime》のメンバーが増えていた。

 少し後に美来たちを乗せて帰れるようにと車で来るやつもいると聞かされる。


「ここだ!」

 奏の叫びに、その空き家の敷地に多くのバイクが入る。

 真っ先に停車した銀星のバイクから下りた俺は、ヘルメットを外しながら走り出す。

 外したヘルメットを銀星の方へ放り投げ、そのまま突っ込むように空き家のドアを思い切り開けた。


「美来!」

 呼んだ女は――俺の大事な彼女は、目の前で他の男の腕の中にいた。

 でも、振り返った彼女の表情は今にも泣きそうな喜びの笑顔を浮かべる。

「幹人くん!」

 そして、俺を求める声を上げた。