ちょっとかすりはしたけど、これを一発当てたとは言わねぇだろう。

 俺はすぐに次の攻撃に入るよう体勢を整えた。

 でも、銀星は驚いたように目を見開き笑う。


「ははっ……マジかよ。なんだかんだ言っても俺の弟ってことか?」

「は? 知るか。時間がねぇんだ、さっさと続きするぞ?」

 そうして構える俺に銀星は「いや」と戦闘態勢を解く。

「いいぜ、かすっただけでも当てたんだ。連れてってやるよ」

「……いいのか?」

「ああ……。ま、美来もお前が行ってやった方が喜ぶだろうしな」

 本当に銀星か? と疑いたくなるような優しい笑みを浮かべられ何だか少し気味が悪い。

 でもまあ、連れてってくれるっていうなら文句はない。


 四人でバイクの所に行って「ほらよ」と銀星にヘルメットを渡される。

「お前のこと特に弟だって思ったことはねぇんだけど、なんでだろうな……お前の成長が嬉しいって思ったぜ」

「……そうかよ」

 照れもせずそんなことを言う銀星に、俺はぶっきらぼうに返した。

 でも、なんだろうな。

 俺も銀星のことを兄だと思ったことはねぇけど……今の銀星は、兄っぽいなって思った。


「さ、急ぐぞ。振り落とされんなよ⁉」

「ああ」

 そうして奏のナビのもと向かった先は街の郊外。

 空き家が多い場所だった。