そんな女が危険な目に遭っている。

 それを助け出すのが、俺以外の男であってたまるか。

 どうしても駆けつけられない状態なら他の誰かが助けに行っても仕方ねぇ。

 でも、今は目の前に駆けつける方法がある。

 だったら、何が何でもその方法を手にするしかねぇだろうが!!


「……へぇ」

 覚悟を決めた途端、銀星の様子も変化する。

 お互いにピリつく空気を肌で感じて戦闘態勢に入った。


 怒り、焦り、闘争心。
 全部が俺の中で渦巻いて、高揚する。

 でも、美来を助けるという意志がそれらを全てまとめて、心の中は冷静に凪いでいるという不思議な感覚になった。


 先に動いたのは銀星。

 一発で伸してやると言った通り、はじめの一発にかなり力が込められていた。

 しかも早い。

「っく!」

 いつもの状態なら確かにこの一発を確実に食らっていただろう。

 でも、高揚しつつも中心は冷静といういつもと違う感覚は、その早い拳をしっかり見極めていた。

 少しかすったけれど、渾身の一撃を俺はかわす。

 そしてそのカウンターで拳を繰り出した。

「なっ⁉ チッ!」

 それでも流石は銀星ってところか。

 俺の拳をかわしてすぐに後方に跳んだ。