食堂で昼飯も食い終わった俺は一度カバンを取りに教室に戻り、それから《月帝》のアジトでもある北校舎の第二音楽室へ向かった。

 途中因縁をつけられてそいつらを()していたらちょっと遅くなっちまったけど……。


 最近の俺のヘタレっぷりを見て舐めてくる下っ端がちらほら出てきた。

 幹部や上の連中はちゃんと俺の実力を分かってるから少なくともそういう態度はしてこねぇけど……。

 でもこのままじゃあ八神さんにも迷惑がかかるし、次期総長は別のやつにとかなったらチーム内で闘争がはじまっちまう。

 そうなったらまた《星劉》の連中が勢いづくし、出来ればそれだけは避けたい。


 だから、俺がヘタレてしまう原因を何とかしないとねぇんだが……。

 その原因である女の顔を頭に浮かべる。

 いつも可愛い、俺の大事な彼女。

「美来……」


 選んでもらえるとは思ってなかった。

 初め彼女は俺のことをどちらかというと嫌ってたし、俺もちょっと強引にセフレにしようとかしてたし。

 ……あの頃の俺をぶん殴りたい。

 とにかく、そんな俺だし他にも美来を好きな男はいるから、俺を選んでもらえるとは思ってなかった。

 まあ、選ばれなかったとしても諦められなかったけどな。