「彼らは部外者だからね。ハロウィンパーティーなんて、本当に都合が良かったよ」

 稲垣さんの説明のような言葉に、口の中に苦いものが広がる。

 確かに、こんな格好をしていれば仮装しているだけと見られて部外者かどうかなんて分からない。

 まさか楽しいはずの校内イベントがこんなふうに利用されてしまうなんて……。


 軽く睨むように三人を見ていると、一番背の高い人があたしに気付いたようだった。

「ああ……やっと会えたな」

「っ⁉」

 覚えのある暗く低い声に、息を呑み目を見開く。


 嘘だ。
 あいつがここにいるわけがない。

 有り得ないと思うのに、粘着質な声音まで似通っていて否定出来る要素がない。

 それでも違っていて欲しいと願ったけれど、現実は無情だ。

 ズルリと引き下ろしたシーツから現れたのは、出来るなら二度と会いたくなかった男。


「橋場……」

「会いたかったぜ? 美来」

 あたしがこの世で一番嫌っていると言っても過言ではない男は、とても嬉しそうに酷薄な笑みを浮かべた。