「と、言うわけで。特訓しよう? 幹人くん」

「いや、話は分かったけどいきなりだな⁉」


 授業も終わって、生徒会やらハロウィンパーティーの準備やらの仕事も終えたあたしたち。

 忙しいのはもうパーティー前日の準備くらいだからと、夕方には帰ることが出来た。

 だから幹人くんと連絡を取り合って一緒に帰って来て、今は彼の部屋にお邪魔しているところ。


 道中如月さんたちとのやり取りを話して、部屋に入ったところで今のセリフだ。

「だって、『別れた方がいい』なんて言われて悲しかったし、悔しかったんだもん」

 如月さんにそう言われたからといって本当に別れるつもりなんて毛頭ない。

 でも、あたしたちのお付き合いはそう思われるようなことなのかと悲しくなった。
 そして悔しくて、誰にも文句が言えないようなカップルになりたいと思った。

 幹人くんが仲間から次期総長として不安がられているっていうのも嫌だったし。


「美来……」

 嫌な気持ちを思い出してうつむいていたあたしの頬に、チョン、と幹人くんの指が触れる。

 その指にうながされるように彼の顔を見上げると、仕方ないなと言いたげな優しい困り笑顔があった。