「でも俺たちに久保と美来を二人きりにするなって指示出してましたよね?」

「おい」

 明人くんの言葉にサッと睨みつける如月さん。

 否定しないってことは事実なんだな。


「自分だけいい子ぶろうとしないでくださいよ」

「なっ⁉ お前ら『もちろんです!』とか言って、俺が言わなくても邪魔する気満々だったじゃないか」

 勇人くんの非難の声に眉を寄せた如月さんは文句を言い始めた。

「そうっすね。でもだからって言ったことは覆らないすよ?」

 明人くんの返しに、ついには無言で睨むだけになる如月さん。

 対面している形だからあたしも睨まれてるみたいで怖いんだってば~!

 内心恐怖で震えていると、一つ大きなため息を吐いて如月さんは話題を変えた。


「それよりお前ら次期総長はどっちか決めたのか? そろそろ決めておかないと、忙しくなってからじゃあ大変だぞ?」

「次期総長?」

 考えてもいなかった話題に、今まで成り行きを見守っていたあたしは声を上げる。

「如月さんはそのまま総長しないんですか?」

 暴走族の総長って、そんな頻繁に世代交代するものだっけ?
 いや、詳しくなんて知らないんだけどね。