「ウソだろ? 可愛すぎ。抱きしめてぇ……でも壊しそう……」

 なんだか物凄く葛藤させてしまったみたいだ。

 だから、大丈夫だよって伝えるために彼の袖をつまんで軽く引いた。

「あたし、抱き締めても壊れないよ?」

 みんなの前で口にするのは少し恥ずかしかったから、上目遣いみたいになってしまった。

 もしかしたら抱き締めてっておねだりしているみたいに見えちゃうかな? と更に恥ずかしくなる。


 でも、あたしが恥ずかしさに悶える前に幹人くんが「うぐぅっ!」と大きく呻いて胸を抑えた。

「美来……今のはマジでヤバい……」

 言い残し、彼は崩れ落ちる。


「え? ええ⁉ 何? どうして幹人くんが倒れちゃうの⁉」

 慌てるあたしに背後の友人たちから声がかかった。

「美来、見事なノックアウト」
「美来にベタ惚れな久保くんには刺激が強すぎたか」

 奈々、香と続いてしのぶが近くに来る。
 あたしの肩にポン、と手をのせて。

「恋する乙女の今の美来は普段の十倍可愛いからね。いくら彼氏でもこうなっちゃうよ」

 と何故か納得の声。
 いや、むしろ彼氏だから尚更なのかな? なんて呟きを聞きながらあたしは困り果てていた。