いつもと同じ朝。

 いつもと同じ登校風景。

 なのに、全てがキラキラして見える。


 青い空はより爽やかに。
 学校前の歩道の街路樹はより生き生きと。

 目にするものすべてが綺麗に見えた。


 好きな人と両想いになって付き合っているという事実が、どんなことも新鮮に受け止めさせてくれる。

 幹人くんがそばにいなくても、幸せな気持ちは続いていてふわふわでキラキラな世界が広がっていた。


 今まで友達とかが惚気(のろけ)たりするのを呆れながら見ていたけれど、こんな気分だったら確かに惚気たくなると思う。

 ……というか、昨晩早速惚気ちゃったし。


 昨日、幹人くんの部屋でずっとおしゃべりしていたけれど、奏から第一学生寮の食堂に夕飯食べに行こうという電話が来たことで二人の時間は終わった。

 名残惜しいけれど明日にはまた会える。

 おやすみ、と別れてからもじわじわ幹人くんと恋人同士になったんだって自覚してきて……。

 終始ニコニコしていて奏には呆れられたっけ。


 食堂ではしのぶ含め友達三人にあの後のことを追求されて……。

 保健室でのこと。

 第二学生寮前で告白されたこと。

 その後幹人くんの部屋でお話したこと。


 あたしにとって大事な思い出だからそこまで詳しくは話さなかったけれど、それでも一通りの流れは全部聞き出されてしまった。