「あの子を良く思っていない人は少ないから、君が協力してくれると助かるんだ」

「この学校から追い出すのを?」

「ああ、そうだ。……あと、ついでにちょっと痛い目に遭ってもらいたいなと思っているくらいかな」

「……」

 その言葉に、あたしの中で積み重なっていたあの女への憎しみが揺れた。


 学校から追い出すことができれば……あたしの視界に入らなくなれば、この持て余している憎しみの炎も消火していくかもしれない。

 それに、ちょっと痛い目に遭ってもらうという言葉は甘美な響きに聞こえた。
 ドロリとした感情が、喜びをうったえている。

 何より、この重苦しい嫉妬の気持ちをもう一人では抱えきれない。


 だから、彼を完全に信用したわけじゃないけれど……。

「いいわ。話を聞かせて?」

 あたしの中にある悪感情を吐き出す術に、乗った。