「……美来……俺さっき、お前のことをどう思っているのかは話したよな?」
「う、うん」
「でも肝心なこと、まだ言えてねぇ……」
「っ……それって……」

 ドキドキ、ドキドキ。
 期待に胸が膨らむ。

 一度息を吐いて、深く吸い込むと久保くんは一気に言葉を放った。


「美来、俺はお前が好きだ。お前以外の女なんて見えないくらい、惚れてる」

「っ!」

 嬉しさに息を吸い込んで、今の言葉が幻だったらどうしようとそのまま止まってしまった。

 でもゆるゆると息を吐いても、目の前の真剣な目は変わりなくて……。

 夕日以上に赤くなった彼の耳が、事実を物語っていて……。


「ありがとう、嬉しいっ」

 あたしの言葉に少しホッとしたように彼の目元が緩む。

 そんな仕草も好きだなぁって思って、あたしも同じ言葉を口にした。


「あたしも、久保くんが好きだよっ」

 笑顔で伝えた想い。

 ちゃんと伝わった証拠に、久保くんの顔が今まで見たことのないような笑顔を作る。

 顔を赤くしながらも、心から嬉しそうな、無邪気な子供みたいな笑顔。


「そっか……ありがとな」

 あどけなさすら垣間見えるその笑顔に、胸がきゅうぅんっと締め付けられる。