一緒の帰り道ももうおしまい。

 そう思った途端あたしから告白しようと思った気持ちがしぼむように無くなっていく。

 時間切れのような気分になって、言おうとした言葉を呑み込んでしまった。


「……ついちゃったね」
「ああ……」

 代わりに出た言葉はただの事実。

 同意した久保くんの声も心なしか残念そうだった。


 でも仕方ないか……今日は諦めよう。
 坂本先輩たちももう邪魔はしないって言ってたし、また機会はあるよね。

 それに、告白してくれるのを待ってるって言ったのはあたしだし。


 そんな風に今日の所は諦めて、あたしは笑顔を作る。

「じゃあ、また明日ね」

 何となく足を止めちゃったけど、ついちゃったからには部屋に帰らないと。

 そのまま歩き出したあたしだったけれど、袖がクッと引かれる感覚に足を止めた。

 見ると、久保くんが引き留めるようにあたしの制服の袖を掴んでいる。

「……」
「どうしたの?」

 振り返って目を合わせても無言の久保くんにあたしの方から話しかけた。

 無言のまま、真剣な目で見つめられてドキドキしてしまう。

 だって、この目はさっき保健室で見たものと同じに見えたから……。