「それに、事実ハロウィンのイベントに関してはどうにかしなきゃなかったからね。俺がいるうちに解決とまではいかなくとも指標になる程度のことはしておきたかったんだ」

 威圧感が無くなり困り笑顔になった坂本先輩。

 つまり、ハロウィンのイベントをどうにかしたいと思っていたから丁度良いと思って高志くんに自分の限界を知ってもらって、ついでにあたしと久保くんの邪魔をしようとしたってこと?

「……」
「……や、でも邪魔をすんのはやっぱ酷くないっすか?」

 うっかり納得しそうになったけれど、久保くんの言うとおりだ。

 坂本先輩の感情的な部分は置いておくとして、人の邪魔をするのは普通に良くない。

「ははっ、まあ、そうだよね」

 笑って同意する坂本先輩には反省の色が見えなくて……。

 これ、やっぱり怒っていいところだよね?


 また文句を言ってやろうかと思っていると、坂本先輩は笑みを仕方なさそうなものに変える。

「でもまあ、これ以上は本気で嫌われてしまいそうだしね。もう邪魔はしないよ」

「え……?」

 邪魔はしないと言われて、喉元にあった文句が奥へ消えた。

「元々ちょっとした障害になればいいなって程度だったし。……あ、でも美来さんを諦めたわけじゃないから」

「は?」

 邪魔はもうしないけれど、諦めたわけじゃない?

 よく分からなくなってきて、聞き返すことしか出来ない。