「あたしだけじゃないです。久保くんも……高志くんなんて倒れちゃうほどこき使われて!」
「それは違うよ」

 でも続けたあたしの言葉にはハッキリと否定が投げられた。

「は? 違う?」

 意味が分からない。

 高志くんは生徒会の仕事を沢山して倒れてしまったんじゃないの?
 完全に巻き込まれた人じゃないの?

 頭の中で疑問が巡る。


 そんなあたしに、坂本先輩は初めて見るような威圧感のある真剣な顔をして続けた。

「高志に関しては別件だ。むしろこうして倒れるように仕組んだからね」

「なんで、そんな……?」

「……高志には、今のうちに自分の限界を知っておいて欲しかったんだ」

 高志くんに視線を向けた坂本先輩は、その目に厳しさを宿らせつつフッと力を弱める。


「高志は真面目で頑張り過ぎるから……。いずれ俺の側近として働くようになったとき、こんな風に倒れてもらったら困るんだ」

「そ、れって……」

「体調を崩すだけならまだいい。でも精神的な意味で動けなくなってしまったら仕事だけでなく生活にも支障をきたす」

 だから今のうちに自分の限界を知って欲しいから、ハロウィンパーティーという仕事を増やしたんだと語った。