地味同盟~かぐや姫はイケメン達から逃れたい~

「で、さっき久保くん美来の名前間違わずに呼んでたよね?」

「ま、さか……」

 やっとどういうことなのか理解する。


「分かった? 久保くんはどう思っているのかは分からないけど、美来は気に入られてる状態よね?」

「……」


 き、聞きたくない。


「そんな状態、久保くんを好きな子や彼のファンからしたら嫉妬の対象だよね」

「うっ……」

「だからね、気を付けた方が良いよってさっき呼ばれた子達に言われたんだ」

「……そっか……うん、気を付ける」


 答えながら、あたしはさらにマズイことを思い出した。

 人気のある幹部って、あの双子も入るよね?

 何か、名前覚えられていたような……。


 昨日の、鏡の様に対になった顔がニヤリとなった瞬間を思い出す。

 単純な好意とは全く思えなかったけれど、気に入られたという意味では間違っていないのかも知れない。


 ……まさか、関わってきたりしないよね?

 クラス違うし。

 わざわざ隣のクラスになんて来ないよね?



 そんなあたしの願いはある意味叶っていたし、ある意味叶わなかった。

 午前中はこれ以上のことは何事も起こらなかったけれど、お昼に昨日と同じように奏を食堂に誘いに行くとそれは起こる。