それが分かっていても、モヤモヤした。

 あたし、嫉妬してる。

 自覚して、そんな心の狭いことを思ってしまうなんてと自分が嫌になりそう。

 ムスッとした表情も、隠せないでいた。


「……美来? どうした? 眉間にしわ寄せて」

 案の定、隣に座る久保くんに気付かれてしまう。

「……何でもないよ」
「何でもないって顔かよ」

 突っ込まれてしまい、ダンマリを決め込もうかと迷う。

 でもそうしてしまうと多分そのまま話せずに終わってしまうだろうし……。


 数秒迷って……。

「前に久保くんとここにいたときのことを思い出してたの」

 とだけ伝えた。


 嫉妬してるってバレちゃうかな?

 なんて思いながら彼の表情を伺っていると、久保くんは「え?」と小さく声を上げた後一気に顔を赤くさせる。


「っあ、えと……あのときは、だな!」

 あのときは飄々としていたけれど、今の久保くんは香梨奈さんと一緒にいたことを恥ずかしいと思っているのかな?

 そう思うくらい真っ赤だ。


 でも、何だかちょっと思っていたのとは違ったみたい。

「その、自覚はなかったけど、多分あのときから俺は美来のことが欲しくて……」

 ……あたし?
 香梨奈さんのことじゃなくて?