久しぶりに久保くんが側にいて、話しが出来る状態。

 なのに、いざ話せるとなると何を言えば良いのか分からない。

 忙しそうだけど体調は大丈夫なのかとか、告白の件はどうなったのかとか。

 聞きたいことは沢山あるはずなのに、声を出そうとすると沈黙に押されたように音が出せない。

 気ばかりが焦って息苦しくなるくらいだ。


 ……あたし、もしかして緊張してるのかな?

 久々に久保くんの側にいて、嬉しいって思うと同時に心臓がドキドキと大きく鳴って息がしづらい。

 こんなんじゃあまともに話せるわけがないよ。

 片手を胸に置いて、まずは落ち着こうと周囲に視線を巡らしながら呼吸を整えた。

 何度目かの呼吸で少し落ちついたあたしは、少し前にこの三人でこの保健室にいたときのことを思い出す。


 あのときも確か高志くんは初め寝ていて、久保くんは香梨奈さんといたんだっけ……。

「……」

 なんだか、胸がもやぁっとする。

 香梨奈さんと久保くんは、別に好き合ってたわけじゃないって分かっているんだけど……。

 それにあの体育館倉庫の件以降二人が会っている様子はないし。

 今の久保くんがあたし以外の女の子に手を出すっていうのは、もう想像も出来ないけれど……。