「高志てめぇ……言い訳があるなら言ってみろ!」

 久保くんは初めて見るような怒りの表情で高志くんを睨みつけている。

 でも意識が朦朧としているであろう高志くんが答えられるわけがない。


「待って久保くん! 高志くんただでさえ死んじゃいそうなのに! それにその掴み方だと首締まってる!」

 久保くんが高志くんを持ち上げてくれたおかげで起き上がることが出来たあたしは、今にも息の根が止まりそうな高志くんを助けるために声を上げた。

「は? 死んじゃいそうって――あつっ! なんだ? 熱あんのか?」

 高志くんの高熱に気付いた久保くんは、怒りを抑えてゆっくり高志くんを寝かせてくれる。

「とりあえず保健室連れていこう」
「ああ、そうだな」

 高志くんの状態をすぐに把握してくれた久保くんは、あたしの提案に躊躇いもなく頷いてくれた。

 なんとかあたしも手伝って久保くんの背中に高志くんを乗せると、一緒に保健室へと向かう。


 途中物陰に隠れるようにしていたしのぶたちを見つけて目が合った。

 久保くんを誘導してくれたあと様子をうかがってくれてたんだろう。

 驚いている表情の三人に、あたしは困り笑顔を見せる。


 あたしのために色々セッティングしてくれた三人には悪いけれど、高熱を出している高志くんを放っておくわけにはいかない。

 三人に“ごめんね”と口の形だけで伝え、後で説明しなきゃなと思いながら保健室へと急いだ。