「ちょっ、高志くん。重いぃ……」

 一体どうしたのかと思いながら彼の体を押しのけようとして気付いた。

「っ⁉ 高志くん? もしかして熱ある?」

「うっ……」

 呼びかけて問うけれど、まともな受け答えも出来ない状態みたいだ。

 首筋に手を当ててみると、ものすごく熱かった。


 これ、かなりの高熱なんじゃあ……?

 本当に保健室に連れて行かないといけない状態だ。

「高志くん、大丈夫? 意識ある?」
「うう……」

 うめき声しか聞こえない。
 これは意識はあったとしてもかなり朦朧(もうろう)としているんじゃないだろうか。

 どうしよう、せめてまずは高志くんの下から抜け出さないと!

 そうは思うけれど、高志くんは結構しっかりした体つきをしている。
 それがずっしりと重石のように乗っかっている状態じゃあ身動き一つ出来なかった。


「本当に、どうしよう……」

「美来?」

 途方に暮れていると、待っていた相手の声がした。

「久保くん!」

 良かった、久保くんに手伝ってもらえれば!

「美来、どこに――っ⁉ 高志⁉ 何してやがる!」

 あたしたちを視界に捉えたらしい久保くんが荒々しい足取りで近付いて来る。
 そして高志くんの襟首を掴んで持ち上げた。