「大丈夫だ。仕事と言っても雑事だし、大した労力はかからないから……」
「それ、少しは労力かかってるってことでしょ? 休みなよ」

 本当に顔色が悪いから、少し強めの口調で言う。
 でも高志くんは「大丈夫だから」と力なく笑う。

 ダメだこれ。
 無理やりにでも休ませないとないやつだ。

 とりあえず休むなら保健室だよね。

 口で言っても自分から行ってはくれなさそうだし……連れて行かないとないよね?


 でもどうしよう、久保くんが来た時あたしがいないんじゃあすれ違っちゃうし……。

「星宮、さん?」
「ん? 何?」

 でもやっぱりあたしが連れて行くしかないかと思っていると、あたしの目の前に立っていた高志くんが声を掛けてきた。

「あれ? 星宮さん、なんで二人に? あ、奏くんなのかな?」
「え? 高志くん? 何言ってるの?」

 突然不思議なことを言い出す高志くんに戸惑っていると、彼の体が傾いであたしに倒れ掛かって来る。

「え? ちょっ⁉ 高志くん⁉」

 なんとか押し留めようと彼の胸に手をついたけれど、男一人の重さは支えきれなくて。

「ぅわっきゃっ!」

 勢いよく倒れなかっただけマシかもしれない。
 でもあたしは高志くんに押し倒されるような形で地面に倒れてしまった。