思っていたよりお母さん思いな久保くんに、意外なものを見たような気分になる。
 ちょっと前までの久保くんだったら本気で信じられなかったかもしれない。

 でも、元々そういう優しいところはあったんだね。

 母親限定だったのかもしれないけれど、昔から優しい部分があったことを知ってちょっとほっこりした。


「こっちもごはん美味しかったよ。感動して思わず褒めまくったらその後のごはんも腕を振るってくれてね。食べるもの全部美味しかった」

「へぇ……遥華さんだっけ? 彼女のお母さんも料理上手なんだ?」

「え? ううん、お母さんじゃなくて……」

 いったん言葉を止めてなんと答えたらいいのかと考える。


 ご両親は亡くなっているのに、いると嘘を吐くのはどうかと思うし……。
 連さんのことを話したらどういうことか突っ込まれそうだし……。

 あ、そうだ。

「遥華が作ってくれたんだよ」

「そうなのか? あまり料理するようには見えなかったけど……。お母さんは料理しない人とか?」

「いや、その……遥華の両親はもう亡くなっているらしくって……」

 これ以上嘘を重ねるとボロが出そうだったけれど、ご両親のことで嘘はつきたくなかった。

 だからそこだけ正直に話したんだけれど……。