「お前の『大丈夫』を信じた俺が馬鹿だった」

 あたしを正座させて目の前に仁王立ちになった奏が言う。
 その表情は静かな怒りを湛えていた。

 あたしの隣で何故か一緒に正座している久保くんをチラリと見る。

 なんで俺も正座してんだろう? という顔だけれど、奏の様子に口を出せないみたいだった。

 巻き込んじゃったなぁ。

 そう思いながらこうなった経緯を思い起こした。

***

 朝、食事も終えて高峰組を後にしたあたしは、二日前別れた奏たちと駅で合流した。

 第二学生寮に歩いて帰りながら、お互いにどんな事があったのかを報告し合う。


「へぇ、久保くんのお母さんって料理上手なんだ?」
「ああ、なんか張り切って沢山振る舞ってくれてさ。美味しかったし……俺太ったかも」

 そう言って自分のお腹の辺りを撫でているけれど、奏は結構自己管理意識してるからしっかりカロリー消費の運動もしたんじゃないかな?

 少なくともお腹が出ているってことはなさそうだった。


「悪ぃな。あんまし友達とか家に呼んだことなかったから……」

 そう言った久保くんの話では、シングルマザーだったから家ではゆっくりして欲しくて友達を家に呼んで遊んだりはしなかったんだそうだ。