「とにかく、こっちはもう協力出来ないってことだよ。せめてもの義理立てとしてお前の計画はバラさないでいてやるからさ」

「そんなんで納得出来るとでも⁉」

 ふざけるな! と怒鳴りつけたいところだったが、直後銀星に睨まれ叫びは喉で止まる。


「……てめぇが納得できるかどうかなんて関係ねぇんだよ。こっちが無理だって言ってんだから、無理なんだっつーの」

 本気の睨みに、気圧された。


 《crime》は《月帝》や《星劉》と違って地元の人間だけで作られたチームだ。

 そのためケンカの弱い奴も多く、佳桜高校の連中からは少し舐められている。

 だが、トップである銀星は別格だ。

 こいつだけは《月帝》と《星劉》の総長が二人がかりになっても敵わないだろう。
 それくらい強い男だ。


 銀星の家でもある高峰組にしたってそうだ。

 何十年も抗争がないから、地元の人間にはちょっと怖い集団の家があるくらいにしか思われていない。
 実害はないから、関わり合いになろうとしなければ問題ないだろう、と。

 だが、何十年も抗争がないということは裏を返せばケンカを売ってくる相手もいないってことだ。

 それがどういう意味を持つのか、考えただけで背筋が冷たくなりそうだった。