「ありがとうございます。でも今日は出掛ける予定なので、お昼は大丈夫です」
「そうそう、あたしとデートするんだもんねー」

 ニコニコ笑顔で腕を組んでくる遥華。

 可愛いけれど、遥華ってちょっとボディータッチが多めだなと思う。

 まあ、別に嫌ではないんだけれど。


 あたしも笑顔で「ねー」と一緒に言い合うと、連さんが「眼福だなー」とか言い出した。

「可愛い女の子がじゃれ合ってるのっていいよなー」

「うわ、出た変態発言」

 しみじみと言う連さんを遥華はズバッと切り捨てた。

「変態はねぇだろ⁉ 男なら多かれ少なかれ思うことだって!」
「それが変態っぽいんだってば!」

 あたしを挟んで交わされる口論に「ははは……」と笑うしかない。


 口ゲンカしていても険悪な雰囲気はなくて、なんて言うかあたしと奏みたいだと思った。
 気を許してる相手だからこそ出来る口ゲンカって感じ。

 遥華にとって連さんは家族なんだな。

 昨日のやり取りを思い返すと、きっと銀星さんも。

 それが分かったひと時だった。

***

 外に出かけるという事で三つ編み眼鏡の地味な格好になったあたしは、遥華と屋敷の門を出たところで足を止めることとなる。

 出てすぐの場所に、ドドドとバイクのエンジン音を響かせている二人の姿があったから。