朝食はこれぞ日本の朝! というような定番が揃っていた。

 白米に豆腐とわかめのお味噌汁。
 納豆と卵焼きに、焼き海苔。
 二切れのたくあんもあって……そこまで手の込んだものじゃ無いけれど、この家に住む人全員の分朝から用意するのは大変だろう。

「いつもやってることだからなぁ……大変は大変だけど苦に思ったことはないかな?」

 と、連さんは何でもないことのように言うけれど、結構凄いことだと思う。

「苦じゃなくても大変なのに毎朝作ってるんですよね? 充分凄いことだし、やっぱり尊敬します!」

 あたしなんて休みの日の朝食たまに買ってきたパンにしたり、結構手抜きしちゃうし。

「うっ……美来ちゃん、それ、俺にとってはかなりの殺し文句かも」

 そう言ってまた昨日のように抱きついてこようとする連さんだけれど、今度はしっかり遥華に止められていた。

「欲とかなくて可愛がってるだけだとしても、そんなホイホイ抱きついて良いものじゃないよ!」

「ちぇー……分かってるって」

 渋々広げた腕をしまった連さんは、気を取り直して今日の予定を聞いてきた。

「今日はどーすんの? 昼間は出掛けんの? 家にいるんだったら昼メシも作っとくぜ?」

 それは嬉しい申し出だったけれど、今日は遥華と出掛けると昨日のうちから決めていた。