「あ、でもほら! もしかしたら義理の娘になるかもしれないし」

 あたしがちょっと引いてしまって空気が微妙になったのを感じ取ってか、遥華がとんでもないことを言い出す。

「ちょっ、遥華⁉」

「義理の娘? ああ、銀星がものに出来ればってことか?」

 止めようとするあたしだけれど、充成さんは面白そうに食いつく。

 期待しているところ悪いけれど、銀星さんの女には絶対ならないと思う。


「ううん、違う違う。もう一人の方」

「ちょっ⁉」

「もう一人? ああ、幹人のことか。そういえば年も同じだし学校も同じだったな?」

 そう言って視線を向けられたので、あたしは「同じクラスです」とだけ答えた。


「確かに幹人と結婚しても俺の娘という事になるな。……美来ちゃんが義理の娘か……いいな」

 呟き、ニヤリと笑う様子は少し悪い顔をしている。

「どうだ? 幹人と結婚しないか?」

 久保くんと結婚という言葉にあたしは一気に顔が熱くなる。

 頭も熱くなってしまったあたしは、ただでさえ出やすい感情を前面に顔に出してしまった。


「うぇ⁉ そ、そそそそんなっ! 久保くんと結婚だなんて……!」

「脈ありか! 銀星は振られたなぁはっはっは!」

 あたしの表情一つで確信を得られてしまう。

 豪快に笑う充成さんから視線を逸らして、あたしは顔の熱を冷ますのに必死になった。