結果は、むしろ食べて行ってくれという答えだった。

 実は朝晩の食事も入寮費には入っていたらしく、食べないともったいないそうだ。


 入寮の時そんな説明あったっけ? と疑問を口にすると、第二学生寮の生徒はほとんどが第一学生寮に来るのを面倒がって各自で用意していて、だから寮母さんもわざわざ言わなかったのかもしれないと聞かされた。

 一応入寮時の説明書には書いてあったはずだが、という言葉にあたしと奏は黙り込む。


 大事なことは寮母さんが話してくれただろうから、読むのは手が空いた時で良いだろうと言って二人そろってちゃんと読んではいなかったから。

 だから、文句があっても言えなかった。


 まあでも、実質損をしたのは今日の朝食分だけなのだから良かったとも言える。

 久保くんに連れ出されて散々迷ったりと悪いことばかりだったけれど、そのおかげで学生寮の食堂も利用できると分かったんだからちょっとはプラスになったかも知れない。


 ……それでもマイナスの方が大きい気がするけれど。


「ああ、本当に良かったよ。梅内さんが言ってくれなきゃ、しばらく頑張って自炊してただろうから」

 しのぶの言葉に奏が優しく微笑んで応えた。