「……そう」

 それもどうなんだろうと思ったけれど、少なくともみんながみんなそんな風に思っているわけじゃないと分かっただけでも良かったのかも知れない。


 何とも言えない気分で遠い目をしているあたしに、ヨシさんとノブさんはまたあたしをジロジロ見て口を開く。

「にしてもホントにこの子が若が狙ってる女なのか?」
「可愛くないとは言わねぇけど……地味すぎねぇ?」

 随分とぶしつけな視線を向けられていると思ったけれど、言葉もぶしつけだった。

 そしてノブさんが手を伸ばしてくる。

「とりあえずその眼鏡取ってみろよ」

「は? ちょっ!」

 言葉と共に眼鏡を取られそうになり、あたしは反射的にその手をかわす。


「お? 見た目のわりにすばしっこいな」

 と、今度はヨシさんまでも手を伸ばしてきた。

「なっ⁉ 何なんですか⁉」

 彼らの腕をかわしながら非難の声を上げるけれど、二人はまるで鬼ごっこでもしている様に楽しそうだった。


「おお! これでも逃げれんのか?」
「よっしゃ! これならどうだ⁉」

 子供みたいに楽しそうな二人は本当に遊んでいるかのよう。


 何この人達。
 なんかすっごい大人げないんだけれど⁉


 逃げるのは簡単だったけれど、いつまで続ければいいのかとうんざりした。