門の中はまさに和。
 玄関までは飛び石があって、両脇には日本庭園。

 奥の方にはちょっとした池も見えたから、もしかしたら鯉とかいるのかも知れない。

 玄関も広くて、何やら高そうな大きい壺とか飾ってあって……どこの旅館ですか?って聞きたくなる。


「……凄いね」

 思わず感嘆の息を吐いて呟いた。

「でしょう? あたしも初めはビックリしたんだよ? でも流石にもう慣れちゃった」

 靴を脱ぎながら明るく笑って言う遥華は、もう本当にいつも通りだ。

 あたしも(なら)って靴を脱いでいると、奥の方から二人分の足音が聞こえてくる。


 ドスドスと、重そうな足音に大柄で乱暴そうなイメージが湧く。

 そして奥の廊下から現れたのはまさにそのイメージ通りの人たちだった。


「おう、ハル。帰ったのか?」
「未来の姉御になる女ってのはその子か?」

 黒髪の男とスキンヘッドの男。どっちも強面で筋肉質だった。

 二十代前半っぽい二人の男は近くに来るとあたしをジロジロと見下ろす。

 大きくて背も高めの男達にぶしつけに見下ろされて流石にたじろいだ。


「ちょっと! ヨシさん、ノブさん! 美来をいきなり威圧しないで頂戴!」

 遥華が叱りながら間に入ってくれて助かった。

 これ以上近付かれてたら反射的に拳が出てしまいそうだったから。