「うん……うん! もちろん! 美来はあたしが絶対守るから! ありがとうっ」

 そうして笑顔になった遥華は目に涙を溜めた状態であたしに抱きついてくる。

 あたしはそれを受け止めて、遥華との縁が切れなかったことを純粋に嬉しいと思った。



 ……遥華は抱きついたまま自分のことを教えてくれる。

 元々は父親が高峰組の舎弟だったんだと。
 でも遥華が生まれるのと同じくらいに足を洗って、真っ当な仕事についた。

 だから遥華は小学生の低学年の頃までは普通の一般家庭で育ったんだって。

 でも四年生になる少し前くらいに、両親が揃って亡くなってしまった。

 しかも祖父母は父方母方どちらもとうに亡くなっていて、頼れる親戚も無し。
 そのままだと遠縁をたらい回しにされるか施設に入るかというところに、高峰の組長さん――つまりは銀星さんのお父さんが声を上げてくれたのだと。

 高峰組の組長だとは知らなかった遥華だけれど、何度か顔は合わせていて面識はあった。
 面白いおじさんだと認識していた遥華は、二つ返事で彼にお世話になることを決めたんだって。


「ここの人達は本当に気のいい人だし、銀星もあんなだけどあたしのことは幼馴染としてそれなりに大事にしてくれてるし。……ここに住んでいることに後悔はないんだ」

「うん……」