「それはそうなんだけど、銀星からは責任持ってあたしが守るから! 美来を泣かせたら許さないって言っておいたし!」

「遥華……?」

 必死な様子に遥華の表情をよく見る。

 泣きそうな顔で必死になってあたしを繋ぎとめようとしている。
 それはまるで、あたしが泊まるのを拒んだら遥華自身をも拒んでいると受け止められそうなほど。

 ……ううん、多分その通りなんだ。

 遥華の今の様子を見ると、“あたしを拒まないで”と言っている様にしか見えない。

 ……ここに泊まるのを拒むのは簡単だ。
 どんなにいい人でも、極道の世話になるわけにはいかないって言えば良い。

 常識的に考えてもそれが普通だ。

 でも、そうして拒んだらきっと遥華との縁もここで切れてしまう。

 どんなにあたしが今まで通りに接しようとしても、遥華の方が逃げてしまうと思う。
 傷つきたくないから。

 今泊まるのを拒んだらきっとそれは遥華を拒むのと同意義で……多分、深く彼女を傷つける。

 それが分かってしまったから、あたしは「分かったよ」と返した。


「ちょっと……いや、結構驚いたけど……でも分かったから。……改めて二日間よろしくね?」

「美来……? え? 本当に?」

「うん。……あ、でも銀星さんのことは本当にお願い。襲われそうな場所でゆっくりなんて眠れないもん」

 そこは念を押しておく。