「その遥華って子、本当に信用して大丈夫なのか?」

「大丈夫だって。いい子だよ?」

 荷物をまとめて寮を出て、今更ながらに心配性を発揮する奏にあたしは苦笑する。


 遥華のことをよく知らないから心配になるのは分かるけれど、あたしの言葉くらいは信用して欲しい。

「でもな、出会った経緯とか関係性を聞くとどうしても心配になるって言うか……」

「そうだよ、銀星と関りがある女なんだろ?」

 まだ渋る奏に久保くんも同調する。
 久保くんまで心配性になってしまったみたいだ。


「二人とも心配しすぎだよ」

 困り笑顔でそう返すと丁度駅につく。

 久保くんの家はここから二駅ほど離れてるという事で、二人とはここでお別れだ。


「じゃあ久保くん、奏をよろしくね」

「ああ……何かあったら連絡寄越せよ?」
「些細なことでも心配なことがあったら連絡しろよ?」

 変わらず心配性な二人に「分かったから」と返事をして、あたしは遥華との待ち合わせ場所のバス停に向かった。

 街中よりは少し離れるから、バスを使うと言っていたから。


 行ってみると、バス停近くに設置されたベンチにいつもより少し控えめなメイクをした遥華がスマホをいじりながら待っているのが見えた。