とにかく転入生のことは二年の連中に任せることになる。

 《かぐや姫》の情報は今回も空振りだったが、俺は何かが変わる予感がしていた。


 あの美来という地味女が、何かを変える――波紋を作る雫のように思えて。


 目をつむれば、満月の下美しい黒髪をなびかせた姿が鮮明に思い出される。

 二年たった今も色褪(いろあ)せることはない。

 それくらい印象的だった。


 月に向かって恋しそうに歌う彼女はまるで本当に《かぐや姫》のようで……。


 彼女を手に入れるためなら、どんなことでもしようと思えるほどに。

 他の二人になんて渡すつもりはない。



 《かぐや姫》を手に入れるのは、俺だ。