「あ、あなた達出かけてたのね?」

 寮に戻ると、外にいた寮母さんに声を掛けられる。

 何かあったのかと周囲を見ると、寮の敷地内に小型のショベルカーなどが入っていて少し物々しい雰囲気だった。


 え? 何? どうなってるの?


「ごめんなさいね、調べてもらったら配管がかなり古かったみたいで……。建物内の水道管も点検したいからってことで、急遽寮を一時閉鎖しなきゃならなくなったの」

「え⁉」
「は⁉」

 あたしと久保くんが声を上げて驚く横で、奏は苦々しい表情を浮かべ詳しく話を聞いていた。

「閉鎖って、いつまでですか? 部屋の荷物とかはどうすれば?」

 流石奏。すぐに必要な情報を得ようとしている。


「三連休の最終日までよ。明後日の午後には何とか戻れるようにしてもらうから。あと荷物はそのままでいいけれど、念のため貴重品だけは持っていってちょうだい」

「……」

 急展開に言葉が出てこない。

 寮から出てどこに行けばいいの?

「丁度三連休だからって家に帰る子も多かったし……急で悪いけれど、あなた達も家に一度帰ってみたらどうかしら?」

 そう提案をした寮母さんは業者の人に呼ばれて「それじゃあ明後日」と言い残し行ってしまった。